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『グランド・ブダペスト・ホテル』を観てきました

『グランド・ブダペスト・ホテル』を観てきました。

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高田馬場にある名画座の早稲田松竹に行きましたが、本日が上映プログラム切り替わりの日ということもあって、立見用の整理券を渡されるほどの盛況ぶりでした。結局余った席に座ることができましたが、満員の映画館って最近あまり遭遇することがないですよね。

さて、この映画、監督のW・アンダーソンが並々ならぬ情熱をかけて撮影したということで、まさに架空の国を一から作り上げたという様相を呈しています。細かい小道具一つ一つにもリアリティを追求して、例えば劇中に登場する新聞などは、紙面丸々監督自らが創作記事を書いているということでした。他にも多数登場するエキストラ全員に背景となる物語を設定していたり(もちろん劇中では一切触れられることもない)、アクションシーンはCGのみではなく、わざわざ模型を作ってそれを基に迫力のシーンを完成させています。架空の国なのに、歴史ある東欧の国家っぽく感じてしまうのは、決して僕が日本人でヨーロッパの事情に疎いからというだけでなく、細部まで作りこまれた、完結した世界観を監督が完璧主義的に提示しているからでしょう。細部にこだわって世界を丸ごと作り上げるというスタイルが日本の黒沢明監督や宮崎駿監督に通じるものを感じさせますね。
そうして作り上げられた世界ですが、撮影の舞台はハンガリーではなく、ドイツの東部、ポーランド国境近くの街で行われたということで、非常に美しい風景が広がります。予告編ではストーリーはあまり予測できなかったにも関わらず、このいかにもヨーロッパの冬という感じの背景につられて「絶対観に行こう」という気持ちになっていたほどです。ヨーロッパの風景が好きな方はそれだけでも一見の価値ありだと思います。
さらに内容に関しては、ジャンルとしてはサスペンス+コメディでしょうか。ダレ場をほとんど作らないタイトでスピーディーな展開を基調としながら、本来ならば緊迫した場面・シリアスな場面であるはずのカットで、奇妙に浮ついた、ユーモラスな表現が織り込まれ、パラノイア的な印象があります。こういうところはフランツ・カフカの小説からの影響を思わせますね。当然起こるはずの感情が、妙に的を外されたような、どこか本気でないような形で表現される、こういう作品は普段の我々のコミュニケーションとは違う、ちょっと病的なものなのですが、だからこそクセになるんでしょうね。

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サスペンスだけにネタバレすると意味ないので、このへんにしておきます。よかったらぜひ劇場でご覧になってみて下さい。
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