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『プライドが高くて迷惑な人』を読みました

『プライドが高くて迷惑な人』を読みました。
著者の精神科医、片田珠美氏の前著『他人を攻撃せずにはいられない人』も読んで面白かったので、早速買って来ました。

本書の章立て↓
第1章 あなたのまわりの「プライドが高くて迷惑な人」
第2章 どんな特徴があるのか
第3章 なぜ、こういう人が生まれるのか
第4章 どんなふうにつき合えばいいのか
第5章 処方箋
第6章 自分がそうならないために


以下にそれぞれの章をザックリと要約していきたいと思います。

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第一章
まずプライドが高くて迷惑な人の典型事例が4つ紹介される。
事例1:親の七光りで社長になった後、実力もないのに暴君と化した若社長
事例2:部下が自分よりできると見るや、陰で悪口を吹き込んだりして邪魔する上司
事例3:アメリカ留学を経験し、博士課程まで出たが些細なことにクレームをつけるニート
事例4:自分は出来ると思い込み、自己中心的でトラブルの絶えないOL
そしてこれらの典型事例から「プライドの高い上司7パターン」「プライドの高い同僚7パターン」を抽出する。
「プライドの高い上司7パターン」
①残業を強制②気分屋である③手柄を横取りする④称賛を要求する⑤約束を勝手に
ドタキャンする⑥遅刻・早退を繰り返し当然と考える⑦メールで叱責してくる
「プライドの高い同僚7パターン」
①みんなのルールを自分だけ無視する②自慢を繰り返す③物品を無断借用する
④面倒なことは他人任せにする⑤他人に世話になっても当然と考えお返しはしない
⑥毒舌である⑦他人の私生活にまでデリカシーなく踏み込む

しかし著者は、高いプライドが必ずしも悪いものではないと考えている。プライドにも一定の意義があるとしながら、現実とあまりにも乖離した高いプライドを持つ人とどう付き合うかや、そうしてそういう人が発生するのかを考察するとしてこの章を締めくくる。

第二章
プライドが高くて迷惑な人に共通な特徴を説明していく。
自分のやり方を押し付ける→自信の無さから、自分のやり方が一番として周囲を従わせ優位に立とうとする。
現実から目をそむけようとする→自分はルールを守る必要のない特別な人間だなどと思い込む。などなど・・
これらをまとめて次の3つの「困ったちゃん」のタイプを得ている。
①自慢称賛型:常に褒められることを望んでいる。自分が一番でないと気が済まない
②特権意識型:自分は「特別」だから特別扱いを受けるべきと確信。ルール無視する。
③操作支配型:その場を支配し、自分の優位を示さないと不安でいられない。

第3章
このような人が生まれるのは、少子化によって、親が一人一人の子供に対して大きな期待をかけ、核家族化によって、親戚や地域社会が子供の子育てに関わる機会が激減した結果、身の程を知る機会を経なかった、幼児的万能感にとらわれたままの大人になる人が増えたからである。

第4章
プライドの高い人から被害を受けないように予防するための方法があげられる。
「とりあえず、ほめる」:勘違いしている人には褒めるのが有効
「別の見方もできることを示唆」:中立の立場で高プライドの人の面目をつぶさぬよう
「どうしても必要な批判のみピンポイントで」:褒められるところはほめてから・・
「羨望をかき立てないように注意」:海外旅行の話すら地雷のことも
「反論してやっつけるのは禁物」:元々自信がないので論破すると恐れから一層ひどくなる
「格付けに敏感なことを忘れずに」:紹介の順番など細かなことでも怒り出すことが
「特別扱いはしない」:これを許容するとエスカレートして手に負えなくなる
「振り回されないように気をつけて」:できるだけ関わらない。
「ギブアンドテークを期待するな」:やってもらって当然と思っている人種である

第5章
プライドの高い人からすでに被害を受けている人がどう対処すればいいかが挙げられる。
注意する場合も具体的な行動とそれによる結果を客観的に話すべき。
批判や話への割り込みなども合理的に対話を進めていくことが大切で、感情的になって同じ土俵に上がると消耗するばかりである。
会議に毎回遅刻してくる人に対しては、特別扱いして待つことはせず、時間通り始めることがよい。

第6章
自分がプライドが高くて迷惑な人にならないためには、とにかく人とのコミュニケーションを通して「自分を知ること」、そして「自分の弱点を受け入れること」「地道な努力の積み重ねで自尊心を保つこと」である。

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感想:著者の臨床経験にフロイトの幼児的万能感の概念と、ラ・ロシュフコーからの引用を加えて、最近多くみられるという「プライドが高くて迷惑な人」を分析する本書でした。時折自分自身に当てはまることがあってドキッとしてしまうのは、こういう精神医学・心理学系の本にお決まりなのであまり気にしすぎないようにしたいと思います笑
本書で出された例にサッカー選手の本田圭佑選手があったのですが、本書執筆の時点では「プライドが高くて、ビックマウスでチームからあえて孤立していた」本田選手が持ち上げられていたにが一転、「W杯で結果を出せなかったことから戦犯として非難されている」例として書かれていました。みなさんもご存じの通り、現在は所属するイタリアのACミランで7試合6得点して再び持ち上げられまくってますね。著者の考えとしては、「プライドが高くても、実績や並外れた才能・容姿などがあれば許容される傾向がある」というようです。やはり人間は、目に見える実績が無いと何を言っても説得力が無くなってしまうということでしょうか。それにしても本田選手の例では、成績を長い目で見てもらえず、直近の試合の結果で評価があまりにも極端に揺れているところから、日本の風土がいまだに「出る杭は打たれる」状態であり、プライドが高いことを表に出すのは不利なことばかりな国なんだなあと考えさせられてしまいます。これは成功している知識人のTwitterの炎上騒ぎを見ていても、日本って嫉妬感情が正当視される国だよなあと感じていたこともあり、今度考察をしっかり書いてみたいと考えました。

参考文献 『プライドが高くて迷惑な人』 PHP新書 片瀬珠美著
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