SSブログ

『文系大学院生サバイバル』を読みました

『文系大学院生サバイバル』を読みました
岡崎匡史著。ディスカヴァー携書の新書です。著者は日本大学法学部を卒業し、日本大学大学院で博士号を取得。さらに在学中アメリカ留学を経験するなどしている人です。日本の文系大学院で博士号を取得することの難しさ(社会科学で10%程度、人文系で7%程度の取得率)を考えるとかなりの経歴と考えていいのでしょう。
本書の構成を僕なりにざっくり3つのパートに分けて要約すると

スポンサードリンク


Aパート:文系大学院に入学することが、いかにその後の人生にとってリスクの高いものであるかを示し(博士号取得率の低さ、仮に取得しても就職すらままならない現状)さらに入学できたとしても複雑な人間関係・権威主義的な構造などが待ち受け非常にストレスフルであることを書く、反・文系大学院のススメ。もしそれでも大学院に入るならば博士号を取得するまで文献を読むことと論文にアウトプットすることだけを考えて、ストイックに生活するべし。人間関係で足を引っ張られることに関しては学会誌への論文掲載などの実績を積み重ねていくしかない。博士論文審査に供えて審査1年前には論文の核の部分は完成させて学会誌へ投稿しておく。

Bパート:情報的に海外から取り残されている日本・博士号取得すらままならない日本の大学院に居続けるのではなく、英語を身に付け、覇権国家たるアメリカの大学院に留学することを説く、留学と英語のススメ。このパートは英語の勉強の仕方やアメリカの大学に提出する推薦状の書き方の例など、技術的な内容が主。

Cパート:再び日本の大学院の現状について、貧しい非常勤講師に支えられる大学の構造批判や学内政治について、セクト化する日本の大学・学会の現状分析が書かれる。最後に日本の大学・学会に対して具体的な提言として、「大学の空洞化・教育のアウトソーシングからの脱却」「大学制度の全廃」「理念なき改革からの脱却」「文部科学省解体」「奨学金拡充」「博士のキャリアパス拡充」「教養教育の復権」「反知性主義を唾棄すること」の8つを掲げている。

スポンサードリンク


以上を読んで、まず、「方向性がややぶれていて読みづらい」という印象でした。文系大学院のことを扱ったAパート・Cパートに挟まれて、英語学習書なBパートがあるため、特にBパートは言い方が悪いですが「看板に騙された」気分が拭えず集中力が落ちます。英語の学習方法ならば他にそれ専門の良書が沢山出ているので、無理に量的・質的に中途半端な英語学習法を挟むよりも文系大学院について集中して書ききってほしかったという感想です。博士号を取るためには最終的にパソコンに向かって書き続けること、という継続は力なり的な結論は結局多くの分野で言われていることなので、やはり正しい努力の方向を純化すると「まずは量。それから質」というのが本質なのかもしれませんね。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。