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臨床心理大学院生活のリアル

臨床心理学の大学院生のリアルな実態を書こうと思います。
臨床心理学専攻の大学院生というのはどういうことをしているのか?ということに、興味がない方は全くないでしょうし、興味のある方から見ると守秘義務の壁で外からは見えづらいと思われるのではないでしょうか?まあこれは守秘義務が原因ばかりではなく、どこの専攻でもおそらく似たり寄ったりで、かくいう僕も他の専攻の大学院生、例えばフランス文学とか社会学とかがどんな日常を送るものなのかはほとんど何も知りません。学部の頃はまだ教養教育も大切という観点から他専攻の授業も簡単にとれたのですが、大学院からはセクト化が進みそれも一気に面倒な手続きを要するようになることも原因でしょう。

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さて結論から言ってしまうと、当の臨床心理学専攻の学生たちですら「自分たちはこれこれこういうことをやっている」と明確に言えないというのが正直なところです。どういうことかと言いますと、例えば「自分はフロイトの理論にのっとって臨床をするためにフロイトを研究する」というようなタイプの院生はまずいません。僕はできればこういうアプローチをしたいのですが、実際にこういうことをしようとすると「それでは生身の人間は分からない」とばかりに失笑を買うことになります。
では具体的にどういうことをしているのか?その解答はまず学年が1年生か2年生かで大きく分かれます。まず修士の1年生はひたすら実習、それに加えて大学での授業というところです。
実習先は精神病院・小学校・大学の相談室の3つが基本セットです。そのほかに独自に臨床系のアルバイト先を探して勉強を兼ねて働く人もいまして、僕も福祉施設でアルバイトをしています。3つの基本セットですが、これは受け入れ先によって大きくやることが異なります。まず精神病院ですが、これが一番バリエーションが大きいです。実際の患者さんとの面接を一部担う形態から、文字通り一日中何もせずひたすら病院で過ごすという形態まで様々です。ただ、どの病院にも共通する(あくまで僕の知っている範囲ですが)特徴は、精神病院のスタッフや職場環境が
実習生に対してブラックであるということです。毎年、理不尽な叱責で泣かされる人や体調を崩して出てこれなくなる人が発生しており、大体の実習生は幻滅と愚痴しか語らなくなります。僕の実習した病院はひたすら自分からは患者に話しかけず一日過ごす形態だったのですが、何故か更年期の女性スタッフに昼休みにロックされた挙句、「延々なぜ黙っていたのか」と叱責され続けた思い出があります。最初のオリエンテーションで自分から話しかけないように言われたのでそうしていたのに、そのことで怒られるとは・・・意味が分からないので適当に聞き流しましたが、真面目に受け取ってしまう人にとってはきついでしょうね。狂気の世界です。ちなみに一番やばいという噂はやはり医師です。僕は実習の構造上、医師の方とご一緒する機会がなかったのですが、同期の院生は実習先の医師に毎回パワハラを受けている状態でかなり辛そうでした。はっきり言って先述の僕が行った実習先はまだまだホワイトなほうだったのです。
次に小学校ですが、これは比較的、実習先の環境としては恵まれていると思います。教師の方も割と実習生には優しいですし、子供が好きな人にとってはよりいいでしょう。基本的に授業の補助的な役割ですが、明確にやることが決まっていないので何をしていいかよくわからないことが多いです。また子供が苦手な人にとっては、カオスな空間で丸一日を過ごすことになりますから、ある程度覚悟はして行ったほうがいいでしょう。
最後に大学の相談室での実習になります。これは大学に来談したクライエントの方を実際に担当して、教官の指導を受けながら心理面接のやり方を学んでいくものです。いわゆる臨床心理士・心理カウンセラー的なイメージに一番近い時間かもしれません。教官の指導内容は千差万別でその教授がどのような理論に依拠しているのかや、教授個人のキャラクターに大きく左右されます。ここでものすごく目を開かれたとかそういう体験はしたことがないので、過大な期待は禁物です。あくまで人間のやることなのだ、と考えていたほうがいいように思います。
次に授業です。これは文献を読んでゼミ生皆で意見・感想を言うタイプや講義形式の後にゼミ生が意見・感想を言うものがありますが、どちらも大した違いはありません。臨床心理学は哲学や数学と違って、論破も証明もないので議論をしてもどこまでもメタな話になってしまって収集がつかない、そのためか、基本的に意見や感想は言いっぱなし、発表もやりっぱなしです。そのようなぬるい環境のせいだと思うのですが、発表のクオリティーはピンキリで、テクストの分析から独自の考えを発表する人もいれば、本文そのままを写してただ読み上げるだけの人まで様々です。コメントは基本的にJポップみたいな夢見がちなものが多く、ポエマーの作品発表に近いかもしれません笑
そして週1でケースカンファレンスというものがあります。これは院生と先生が一同に会して、学生が発表する面接記録について様々な意見やアドバイスをする会です。しかし修士の1年生には発言権がないどころか、先輩や先生たちと同じ席に着く権利すらなく、部屋の隅に狭苦しく並べられたパイプ椅子に座ってひたすら会の様子を見続けます。これは単なる陰湿ないじめだろうと自分が修士1年の時は文句を言って一時期改善を得ましたが、年度が切り替わったら、なぜか元の仕組みに戻っていました。その際先輩や教授から満足のいく説明は得られず、こんなオワコンな臨床心理学教室でさえ謎の権威主義がはびこっていて、無意味な上下関係の誇示ばかりが行われるのだということだけが分かって、僕はさらに大学院から足が遠のき、単位をとる最低限のことをする以外はひたすら自分で選んだ本を読むという学習に切り替えます。
一応修士2年生についても書いておくと、授業は1年生と共通の物を週に1~2個とるのとカンファレンスがある以外は基本的に自主的に修士論文を進めるだけで、拘束時間は一気に減ります。(ただしこれはうちの大学のことについてで、大方の大学は2年生で実習が始まるという時期の違いがあります)

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以上、僕が見てきた臨床心理学学生の生活についてざっくりと触りだけを包み隠さず書きましたが、ソースは僕の周辺と、実習先で一緒になった他大学の学生の話です。同現象を見ても個人によって感じ方は異なるので、別の人が記述すればだいぶ雰囲気も変わるかもしれませんが、僕個人としては、臨床心理学専攻の大学院はオワコンなので、心理臨床をやることにある程度こだわりがある人以外には行くことはおすすめできないです。

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