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堀江貴文・岡田斗司夫FREEex『ホリエモンとオタキングがカネに執着するおまえの生き方を変えてやる!』

『ホリエモンとオタキングがカネに執着するおまえの生き方を変えてやる!』を読みました。堀江貴文氏と岡田斗司夫FREEex氏が常識破りな生き方について語っている対談を収録した本です。
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↓本書の構成です
はじめに
第1章 やりたいことだけやって生きる
第2章 個人の力を「拡張」せよ
第3章 貨幣経済の限界
第4章 「儲けよう」とするな
第5章 素人だけで傑作アニメを作る
第6章 次世代型・資金調達法
おわりに

以下に各章の内容をザックリ要約していきます。

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第1章 やりたいことだけやって生きる
〈自己紹介〉…堀江氏は岡田氏が社長を務めていたGAINAX制作の『王立宇宙軍 オネアミスの翼』にハマっていた。(※GAINAXは後に『エヴァンゲリオン』を監督する庵野秀明氏をはじめ、その大阪芸大時代の仲間など、様々な才能が集まっていた会社。ブログ主注)
『オネアミスの翼』監督の山賀氏を堀江氏は「才能があるんでしょう?」と聞くが、岡田氏曰く「才能は関係ない。それはやっている最中に出てくるもの」と答える。

〈宇宙開発〉…堀江氏は宇宙開発に取り組んで誰でも簡単に宇宙に行ける世界を実現しようとしているが、元々はGAINAXへ行って、『オネアミス』の続編を作りたいと考えていた。誰でも宇宙へ行けるという世界を描きたいという動機は一貫しているのだ。堀江氏はさらに『オネアミス』の舞台になったような地球外惑星に行ってみたいと考えている。

〈人間の寿命について〉…岡田氏「過去の人間は皆死んだが、自分にそれが当てはまるとじゃ限らないので、俺は死なないと決心した」
堀江氏「科学的に考えると、寿命を延ばす上でネックになる心臓と脳の再生医療は技術的に可能。あとは誰かがやってくれるのを待って、1600年くらいなら生きてもいいかなあ」

〈宇宙開発の限度について〉…堀江氏は反物質エンジン、冷凍睡眠、原子力エンジンなどを実用化して、生きている間に他の恒星系の知的生命体とのコンタクトは可能だと考える。
岡田氏は、そのペースでの技術進歩は難しく、生きている間には太陽系内でホテルを経営くらいに、目標を下方修正した方がいいのではと考える。

〈結局『オネアミス』の続編は?〉…堀江氏はかつて作る予定だった頃ライブドアCEOをやめたので話が消え、現在は本物のロケットエンジンを作っている。安価に人を宇宙に送り込むことが目標で、第一目標は一人1000万円で地球の衛星軌道上に送ること。岡田氏は消えたアニメ案をテレビでやって、宇宙開発に集まる人を増やすことを提案する。

〈堀江氏のこれから〉…堀江氏は2005年に仕事が全てうまく回り、自家用ジェットも買って、さらにジェット内でネットを使えるようにし、世界中どこにでもアクセスできる環境を整えつつあった。本当に楽しかったが、「あの事件」があり(※『刑務所なう』や『刑務所わず』参照。そのうちレビューを書こうと思ってます。ブログ主注)、一度リセット。同じことをやればすぐに成功できるが、それではつまらないので、今度はロケットをやってる。必ずうまくいくと信じているし、自分の世界では自分が主役。岡田氏はそれを「小4病」と称し、世の中で100万人に1人くらいはいたほうがいいから、堀江氏はそのままで生きるようにとアドバイスする。

〈他人の信頼戦略〉…岡田氏によれば、普通の人は「身内になればなるほど信頼でき、関係が遠く他人になるほど信頼しない」という決め打ち戦略をとるという。だから、身内による裏切りの不倫も良くないこととされる。堀江氏は「どんな人にも良い面悪い面ある」と考えており、身内だからと考えない。またけなされることに慣れているので、自分に親和的な人ばかりではつまらない。

〈女子は彼氏を3人作ろう〉…岡田氏によれば、女子は彼氏を3人作れば、恋人に求めるものは大体カバーされ、精神的に安定する。一方男はそうしようとすると歯止めが利かなくなって恋愛刺激ジャンキーになり、無数の娘と付き合いつつ幸せから遠ざかる。堀江氏はこの恋愛刺激ジャンキーになっているということで納得している。

〈日本人の傾向について〉…岡田氏によれば大人が社会の虚像を子どもに教えようとしていることがかえって現状を悪化させる。親世代の価値観とは違う価値観形成を子どもがするので社会はどのみち揺り戻しがくる可能性がある。堀江氏は、どうして皆が他人のことをそこまで気にしたり、占いにすがったりするのか分からない、と話す。岡田氏による分析ではそれは「日本人の弱さが分からない」という発言である。この世の産業は全て人間の弱さを補完するためにあると考えると理解しやすいとのこと。

第2章 個人の力を「拡張」せよ
〈FREEexの仕組み〉社員が社長である岡田氏に年会費12万円という形で給料を払う。
その代わり、社員は岡田氏と仕事をする(本を出版したり)という権利を得る。岡田氏の作ったコンテンツはタダ(著者印税ゼロ・講演やTV出演料もタダ)である。社員は3年で卒業する決まりと上限が300人までという決まりがある。

〈FREEexの理念とメリット〉…「よいコンテンツは必ず無料になる」という法則がある。岡田氏は自分のコンテンツは人類にとって有益なので無料で届けられるべきと考える。そうすることで「人類の苦痛の0.3%を軽減すること」を目標に掲げる。メリットとしては、経営の安定がある。普通の著者印税10%では1500円の本が一万冊売れて150万円の収入。ロフトプラスワンでのトークイベント出演で一回12万円の収入…とやっていくよりも安定してコンテンツを提供できる。FREEexに12万円払って入ろうという奇特な人間に「めんどくさい人」はいなかった。他人のために何かをするという考えが次世代を良くしていく。

〈exシステムのススメ〉…ロケット作りなども可能か?と聞く堀江氏に対して、岡田氏はホリエモンFREEexを作ることを勧める。「お金の流れはどちらでもよい。社長にお金を出す、という流れでも、忠誠心は生まれ、参加ハードルが上がることで能力の高い良い人が集まる。また、お金の流れが従来の上から下ではないので、辞めたくなったらいつでも辞められる。このことが社長と社員の関係を良くする。従来のお金の流れでは辞めたくても辞められないなので、それが関係をダメにした」堀江氏は「よく考えられたシステム。自分は思いつかなかった」とコメントする。

第3章 貨幣経済の限界
〈堀江氏がいかに資本主義の先端を走っていたか〉…ライブドアでやろうとしていたことは、「株式を通貨にする」という壮大な実験だった。そのため株式を極端に分割していた。
これは明らかに合法なのだが、進行するとライブドア株が、通貨としての力を持つようになるプランである。国家としては3大権力の一つである通貨発行権を合法的に崩される危険性があり、堀江氏を別件で逮捕したのではという見方も可能である。

〈貨幣経済は限界?〉…岡田氏は貨幣経済は限界を迎えている(極端な格差と一極集中)と考えている。堀江氏はベーシックインカムの導入などで最低限の所得保障を行えば問題ないと考える。岡田氏もそれには同意だが、そこに至る道程には問題が残されるとする。

〈評価経済の話へシフトしていく〉…堀江氏のメインコンテンツである有料メルマガも、『うんち・おならで例える原発解説』のメディアアーティスト八谷和彦氏も、個人の名前に対する評価が高く、その評価に対してお金や集合知が集まる。現代ではこの集合知・「知の恵み」をいかに得られるかが重要である。

〈評価経済とは?〉…貨幣の代わりに、評価が流通する社会のこと。貨幣がいきなりなくなることはないが優先順位は変わっていく。
評価経済的視点から見ると、exシステムとホリエモンメルマガは共通点が多い。ホリエモンのメルマガも堀江氏に対する評価があるため、人が簡単に集まる。堀江氏が仮に会社を作るとあっという間に人が集まるが、これはすでに支えてくれる人の数が臨界点を突破している例である。

〈ホリエモンexでアニメを作る?〉…岡田氏は堀江氏を主人公にしたSFものを作ることを提案。SFが未来をイメージとして見せないと技術者も何を作るかイメージしづらいTVアニメ1話2000万円×52話=10億円かかるという話に堀江氏は「たけえっ!」と驚く。

第4章 「儲けよう」とするな

〈原子力の技術は残すべき〉…今すぐ全部やめるというわけにはいかない。日本がやめてもどこかがやる。技術的には福島第一原発は50年前の技術で作られていて、現代はもっと安全な技術がある。大学で原子力関連の学部に人が集まらず、成績の悪い学生ばかりになっている現状は危険とも言える。

〈国家から個人へ〉…YouTubeを使えば個人でも映像を配信できる時代。これからは評価を集めた人の所に沢山の人が集まるようになっていく。現代の貨幣経済は格差が固定して、一部の超金持ち以外はタダ働き状態だが、評価経済ではその状況をシャッフルできる可能性がある。

〈情報を判断する〉…情報を正しいものとデマとをえり分ける能力は、現代ではもはや個人では十分なレベルにすることは不可能で、所属するコミュニティの質がそれを決める。
堀江氏は東日本大震災の後に、著名だったためTwitterに安否確認や災害情報のリツイート依頼が殺到した。それらをリツイートしていると、ある人のニーズを他の人がすぐに解決するなど、「クラウド版ドラえもん」状態になっていた。これも評価経済の例。

〈貨幣から評価へ〉…これからは貨幣のやりとりが減っていく。コンテンツのフリー化・仕事の機械化で、仕事自体が激減し、人口の5%ぐらいが旧来の給料をもらう働き方をし、他の人たちはベーシックインカムで生活しながら、複数のアルバイトをやったりという社会になっていくだろう。

第5章 素人だけで傑作アニメを作ると第6章 次世代型資金調達法
ホリエモンの作りたい『オネアミス』の続編の作り方について、pixivを通じて、素人の集合知でイメージボードや作画をしてしまう、資金については、そのアニメを観たい人、制作に参加したい人などからクラウドファンディングのCAMPFIREを使って一人1万円くらいづつ集めるなどの常識破りな方法を提案する岡田氏。従来のアニメ制作が監督を中心とした中央集権的な仕組みであるのに対して、クラウドを用いた完全なネット社会型でのアニメ作りを目指す。これは、宮崎駿監督や庵野秀明監督のような超天才だけが作品を作れる世界ではなく、だれもが作品作りに関われるという世界を実現できる試み・さらに同時に素人がアニメ制作を学ぶこともできるという試みである。

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「感想」…岡田氏も堀江氏も、個別の方法ではなく、仕組み・原理に着目した思考過程を重視して対談するので、分野が違ってもポイントがずれることなく話が展開していきます。岡田氏自身が「はじめに」で書いているように、この本は「思考過程」を学ぶことができるという点で有用であると思われます。ネット社会による変化・新しいプラットフォームの出現を活かせば、貨幣経済からアニメ作りまであらゆる仕組みが転覆されうるという話でした。

これらは一貫して「中央集権から個人レベルへの拡散」という方向を取り、「天才から普通の人たちの集合知へ」という方向への移行でもあります。

これに関して連想したのが、最近の人気Youtuberの方たちですね。彼らのやっていることはギャグやチャレンジ、料理、メイク方法などの発表で、要は今までテレビでお笑い芸人や芸能人がやっていたことです。
それが個人で動画配信が可能なプラットフォームであるYoutubeの登場によって、芸人と消費者(視聴者)がダイレクトにつながることができるようになりました。これによって、TVという旧来のプラットフォームでは、芸人と消費者の間に入って手数料・マージンを取っていた芸能事務所の存在が必要なくなり、中央集権的な旧来の仕組みが一定程度打撃を受けたと言えます。「コンテンツ産業はネット社会の到来によって生き残りが厳しくなる」と言われていますが、本当にこれからTV関連でマージンを取っている企業は厳しくなりそうですね。ただし、Youtuberがこれから安泰なのかというと、現状一発屋芸人や数クールのTV番組と同じことをしている人が大半なことを考えると、今人気な彼らのたどる道も恐らくTVの一発屋芸人や番組と同じになる可能性が高い気がします。これから長期的に生き残るYoutuberはTV時代とは違うネットだからこその付加価値を付けた新しいタイプの人になっていくでしょう。コンテンツが前時代的性格をひきずっている間はまだ時代が移り変わったとは言えず過渡期のままだと言えるので、新しい価値を提供できる人にとってはチャンスの時代かもしれませんね。

またお二人の著書『もう国家はいらない』『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』の思想に至る直前の意見が交換されあって、考えが進んでいくのが感じられてよかったです。

参考文献 『ホリエモンとオタキングがカネに執着するおまえの生き方を変えてやる!』
堀江貴文・岡田斗司夫FREEex共著 徳間書店



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