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『戦略的上京論』

『戦略的上京論』を読みました。
戦略的上京論.jpg
大学で星海社新書のフェアがある関係で僕の棚にもついつい買ってきてしまい、星海社の本の紹介が続いています。

↓本書の構成です
はじめに
第1章 上京の目的から、住まいを考える
第2章 聖地にとびこめ!
第3章 最初の3ヶ月で、スタートダッシュを決める
第4章 東京をい攻略するために
第5章 リスクを制するもの、東京を制す
あとがき

以下に各章の内容をザックリ要約します。

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第1章 上京の目的から、住まいを考える
・あなたが上京することで、実家には少なからず金銭的に影響がある。家族から「投資」されている自覚をもって、それに見合うリターンをどうやって獲得し家族に還元するかを考える必要がある。
・東京にきた目標を考える。そして行動する。皆と同じことをしていると東京の人口1300万人の中に埋もれるだけである。人に出会うことが大切。
・住む場所は、上京の目的に沿った「聖地」の近く。「大学に近いから」などの安易な理由で東京郊外に住んでしまうのではなく、人生を変えるかもしれない大事な出会いの発生確率を最大化する。
・聖地から「一駅ずらす」ことで学生でも安く終電を気にしない生活圏に入れる。(例)渋谷駅に対する神泉駅など
・入居物件はネットの情報だけで決めず、不動産屋を複数回って、実際に多くの物件を見て決める。地方からくる人でもビジネスホテルを活用しながら数日は集中して考える。
・引っ越しは人生最初の額の大きな投資。適当に選んで失敗しないように。東京は昼夜で雰囲気が変わるので、少しでも泊まって土地勘をつけたほうがいい。
・東京で住む「場所」にこだわる場合「築年数と広さ」は譲歩してよいポイントとするといい。予算的な限りがある中で全て理想通りは難しい。
・東京でも広まっているシェアハウスに住んで様子を見るのもいい。
・若い人間にとって大切なのは人と会う・映画を見る・本を読む…「家の外で過ごす時間」である。家は最低限着替えてシャワーが浴びられて、寝られればよい。

第2章 聖地にとびこめ!
・芸能人になりたい人は「港区」に住む。
・同世代との出会いを望む人は「青山、代官山、中目黒、自由が丘、恵比寿、吉祥寺、下北沢」に一駅ずらして住む、もしくは穴場的な「谷根千」に住む。
・アニメ・ゲーム・エレクトロニクスに興味がある人は「秋葉原」界隈にすむ。総武線で東にいくか、日比谷線で北へいくと家賃が低い物件が見つかる。
・本好きや将来出版関連業界で働きたい人は「神保町」界隈に住む。マスコミ関連の会社に就職するには、アルバイトから入る手がある。
・地方からやってきた若者が多く、地価がそこそこの理想的な場所が「高円寺」界隈。「阿佐ヶ谷」「荻窪」「西荻窪」「中野」界隈も同じ雰囲気。
・「多摩地区」は環境がいいが、都心へのアクセスに難があり、毎日満員電車に乗る必要がある。せっかく東京に住むならば「西の限界」をおおよそ「JR西国分寺駅」に設定するとよいのでは。
・「湾岸エリア」=東京湾に隣接したエリアは都会的で生活感がなく、好き嫌いが分かれる。
・「下町エリア」=台東区、墨田区、江東区、荒川区、葛飾区、江戸川区、足立区。昔ながらの情の残る街に住みたいならおすすめ。
・将来飲食店経営などを目標にしている人は一流店のサービスを体験した方がいい。その意味で「銀座」界隈に集まる一流店でアルバイトをして、一流のサービスを吸収するのがよい。銀座で働くなら中央区の「月島や勝どき」が家賃的にもねらい目。

第3章 最初の3ヶ月で、スタートダッシュを決める
・東京に出てきたのなら、やる前から心配するのではなく、最初は些細なことでもとにかく行動する
・行動するにあたって、LINE、Facebookのアカウントは最低限必須。
・上京しての一人暮らしは孤独に襲われがち、解決策は何等かのコミュニティ・サークルに属することである。
・アルバイトだけに時間を使うのではなく、アルバイトをただ時給で選ぶのでなく、「若い今やるべきことがある」ことを意識して、将来につながるものを選んだりする(出版業界など)。著者自身は学生時代アルバイトばかりしてとても後悔している。その後悔をまとめると以下の通り①「大学4年間マネージャーでもよいから大学のクラブでスポーツを徹底的にやるべきだった。」②「もっと世界を見て回ればよかった」③「もっと沢山の映画を見て、本を読めばよかった」④「もっと恋愛も友達つきあいも、とことんすればよかった」
・「いきつけの~」のように第3の場所・サードプレイスを確保する。

第4章 東京を攻略するために
・資本主義社会でくらしている我々は、資本主義社会のルールや仕組みを知ることで、「資本主義社会というゲームを攻略する必要がある」
・経済学を学ぶことで攻略することは中々難しい、ではどうやってトレーニングするのか?→著者は「株式投資」を勧める。ただし以下の心得・ルールを守って行うように。
心得1.おそらくあなたは極めて高い確率で勝てない
心得2.勝てたとしても一時的であり、それは「偶然」か「まぐれ」である
ルール1.現物取引に限定する。信用取引(借金しての取引)はしない
ルール2.年間で投資する上限金額は限定する
ルール3.上限は20万~30万程度までとする
・株式投資は大いなる実験。身銭を切るのは悪くない。株式投資で勝つためには「経済」「金融」「心理学」「歴史」などなどを深く学ぶ必要があり、株式をやることで否応なく勉強になるしそれは将来役立つ。ただし、マーケットに参加している70%の投資家は百戦錬磨のプロなので、一時的に勝っても勘違いしてはまらないように。
・自己投資が最高にして最も有効な投資
・著者がまず挙げるのは「読書」。読書は最も安価な自己投資
・その次に「一人旅」を勧める。
・さらに講演やセミナーに参加して「この人は!」と思った人の所へ直接話を聞きにいくのがいい。
・TVを見たりゲームをしている時間はもったいない。東京には映画も演劇もコンサートも世界中から一流のものが集まってくるのだから外に出ていき、なんでもトライするべき。
・セレンディピティ(=本書では「良き偶然」的な用いられ方)は人と会うことが基本。様々な人に会っていると偶然人を紹介してもらえたりして仕事を次のステージに進めることができたりする。リアルな世界での雑談が大きな威力を持つ。
・タクシードライバーでその会社における営業成績1番の人は、多くの人がやるようにタクシー乗り場で客待ちをするのではなく、街を走り回っていた。他人と違うことをするという逆張りの例でもあるし、積極的にこちらから出向いていくことの例でもある。今の若い人も、「ネットで全ての情報が手に入る」と言われている時代だからこそ、逆張りの発想で多くの人に会ってセレンディピティを起こすことが、付加価値になり成功につながるのでは。
・人間の人生には浮き沈みがどうしてもある。仕事も同様。だから一人でやっていてはいずれ沈んでしまう。それを最小限に抑えるためにも、仕事を他人とシェアして(うまみを提供・シェアして)いくことで、自分がスランプになっても他の人がカバーしてくれる仕組みができる。できれば自分よりも能力が高いひととタッグを組めれば理想。
・「本当の友人」自分が本当に苦しい時に1か月居候させてくれる・10万円貸してくれるような友人が5人いればこの厳しい時代を生き抜ける。10人いれば独立しても会社を維持できる。20人以上いれば経営している会社を上場できるかもしれない。
人間関係はギブ&ギブ&ギブ&…である。ギブ&テイクは実際のビジネスや人生では役立たない。
・信頼を築くにはまず時間を守ることから。信頼は一つ一つ積み上げていく。ビジネスの世界で成功した人には時間に厳しい人が多い。
・判断するとき、様々なデータを吟味しても迷うことがある。こういう時には直観で決めることになる。直観力を磨くには失敗を重ねておくことが大切。
・目の前の状況・自分の専門だけにしか視野がない人は二流のプレーヤーであり、一流のプレイヤーは目の前のこと以外にも何かあるのではないかと360度にアンテナを巡らす、「捨て目」を利かしている。
・リスク管理は重要。

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第5章 リスクを制するもの、東京を制す
・おいしい話は向こうからはやってこない。(例)東京にいる偽スカウト
・前項と矛盾するようだが、おおいに失敗を重ねるべき。知っているのと体験して理解しているのとでは違う。(例)看護師だった母が入院して初めて患者の気持ちが分かった。
偽スカウトに騙されたとしたら、騙されるとはどういうことかなど実際に学ぶことができる。将来的により大きな詐欺には出会いにくいかもしれない。
・リスクとリターンは等価交換の関係にあるのだが、金融大国の日本の資金は貯金に眠っており、起業率は先進国の中で目立って低い。
・運を制御する…経営をしている人間は「運だけには逆らえない」ということを肌身を持って知っている。だから率先してトイレ掃除をしたりして、運をコントロールはできないまでも何とかバランスをとれないかと考えている。先祖の墓参りの後に苦しい状況を脱する出来事が起こるという事例が重なったと、著者は先輩の塾経営者から聞いた。
・苦しい時こそ「利他」の精神で行動することが実は理に適っている。
・日本の、東京に生まれるということはグローバルな視点で見た場合相当運がよく、まさについているアドバンテージである。
時間こそが最も貴重な資源である。どのように使うか真剣に考えるべき

「感想」
今や地方が最注目され、「劣化版東京を目指さない」地方が脚光を浴び始め、東京もこれから一地方になる可能性も取り沙汰されています。この時代に敢えて中心としての「東京」「上京」に焦点を当てるのはなぜだろうか?そう考えて手に取った本です。(もっとも、逆に東京への一極集中が過熱するという予測もありますが)
そのような観点で読むと、「東京とはどんな街なのか?」それを意識させられる本でした。
僕自身が地方出身者なので自分の上京体験とだぶらせながら考えるとやはり月並みですが「情報量が圧倒的に多く、価値観が多様で様々な人に出会える街」だと思います。これから数の上では人が減っていくかもしれない東京ですが、高度成長期以来に作られた「価値観の多様さ」という一つの文化は、たとえ一地方になったとしても「東京地方」の特色として残り、そのような志向をもった人間をひきつけ続けるのかもしれませんね。これからもセレンディピティに溢れた面白い街であってほしいと思います。

参考文献 『戦略的上京論』 長谷川高著 星海社新書




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